子どもが欲しい!そう願っているのだけれど、なかなかその日が訪れなくて悩んでいる女性は多いものです。
「不妊症」、少子化が叫ばれている昨今だけに、不妊の問題は夫婦同士の問題という垣根を超えそうな勢いで、世間的にも話題として取り上げられるようになってきています。
不妊の原因が分からないと、困っている方も多いようです。
意外と知られていない不妊の原因があることを、ご存知でしょうか?
今回は、不妊の原因を4つ、ご紹介いたします。
目次
不妊の定義とは?
日本産科婦人科学会の定義によると、不妊とは妊娠を希望している男性と女性が、避妊をせずに普通に性交をしていても、一定の期間が経過しても妊娠しない場合のものとしています。
日本産科婦人科学会における、「一定の期間」は、一年というのが一般的としています。
不妊の定義に関しては、おおよそどのような専門家や学会においても同様の話口ですが、この一定の期間に関しては、意見が分かれるところで、二年というのが一般的という意見も多いです。
一年というと、周期がしっかりとしていて、毎回きちんと排卵がある女性でも、妊娠のチャンスは12回しかないことになります。
単純に無排卵のときなどがあれば、その回数は減ります。
また、排卵を意識して性交をしていなかったとか、例えば排卵の時期が仕事の忙しい月末などにかぶっているなどで、排卵日前後、パートナー各々が忙しくて性交のチャンスがないなど、排卵のタイミングと性交のタイミングがずれていることが多かったとなれば、妊娠の確率も下がっていきますから、「一年妊娠しなければ不妊」というのは、ちょっと極端な気がします。
実際、「結婚して何年も子どもができなかったけど、数年たって普通に妊娠した」という人もいます。
なので「不妊の定義」というのは、これを万人にあてはめようとすると、なかなか難しいところなのではないかと感じます。
しかしその反面、「本当になんらかの不妊の原因があった」となれば、早めに治療を行う方がよいわけですので、本当に強く赤ちゃんを望むのであれば、定義を信じて、早めに行動に移す方がよいのかもしれません。
不妊症に悩む夫婦・カップルが増えているって本当?
近年では、なかなか子どもが出来ず、検査や不妊治療を行っている、もしくは治療は行っていないけれど、子どもが出来なくて悩んでいる夫婦が増加しています。
ですが、その数が具体的にどれくらいかと言われると難しいところです。
というのも、日本で不妊に関してデータとして残されているものは、不妊治療の実施件数からみたものしかないからです。
あくまでも「治療を行った数」ですので、検査をしただけの人などは、その中には含まれません。
それでも、その不妊治療の実施件数だけを見ても、年々、不妊症の数がとても増えていることがわかります。
ではなぜ、不妊治療を行った数が、年々増加しているのでしょうか。
時代を経て、不妊治療というものが身近なものになったから増えているという要因もあります。
また例えば昔だったら、二人目が欲しいけど授からないとき、一般的に「では不妊治療を」とはほとんどなりませんでしたが、現代ではそれも普通のことになっています。
となると、それも数が増えている要因となってしまうでしょう。
しかし、それ以外にも、不妊治療の数が増えている原因があるのです。
一番の不妊の原因は、結婚・出産の高年齢化
女性には、妊娠における適齢期があります。
人間は長生きになりましたし、30代、40代の女性を見ても、昔よりも若々しくパワフルではありますが、医学的には妊娠適齢期は20代です。
これに関しては、昔から変わっていないのです。
「最近は医学が進歩したから」というセリフ、よく耳にします。
しかし女性の生殖能力、これを妊孕能といいますが、妊孕能に関しては、医学が進歩していても、変わることはないのです。
つまり、20代で子どもを授かれる環境を作るのが、一番スムーズに妊娠できるということになります。
しかし、厚生労働省が発表している平均初婚年齢の年次推移を見てみますと、平成26年度は男性が31.1歳、女性が29.4歳です。
そして、第一子出生時の母の平均年齢の年次推移を見てみると、平成26年度は、30.6歳となっており、昭和50年のときの調査の結果と比較すると、約5歳も第一子出生時の母の平均年齢がアップしているのが分かります。
つまり男女ともども、初婚年齢そして出産時年齢が、昔に比べて年々高くなっているのです。
この結果を見てみれば一目瞭然ですが、妊娠適齢期に出産をしている女性は少なくなってきています。
卵子は、年齢とともに老化していきます。
つまり自然に妊娠する確率が減少していく、要は医学的に見て、不妊が増えていっているはずなのです。
これを、生理的不妊といいます。
さらにこちらは、かなり認知度が低い話のようなのですが、男性も同様に年齢が上がれば上がるほど、精子製造機能は少しずつ衰えていきます。
つまり男女双方ともに、初婚年齢そして出産時年齢が高くなっている今、不妊で悩むカップルが増えているのは、ごくごく当たり前のことです。
意外と知られていない不妊の原因4つ
ここまでお話した通り、男女ともに出産時年齢が、昔に比べて年々高くなっていることが、不妊の原因の大元になりますが、そうはいっても高齢出産であっても、普通にあっさりと妊娠して出産をする方はたくさんいます。
ですので、高齢=不妊ということではありません。
また、今までお話してきたお話は、あくまでも年齢的な部分で妊娠の確率的に、不妊症で悩む方が増えているのは当然というお話です。
高齢ではなくても、不妊で悩んでいる方はたくさんいます。
年齢的にも問題はないはずで、一人目は普通に妊娠出産したのにも関わらず、二人目がなかなか授からないという、「二人目不妊」という言葉も、最近よく耳にするようになってきました。
そこで、年齢だけではない!意外と知られていない不妊の原因をご説明していきましょう。
ストレス
これは、初婚年齢や出産時年齢が高齢化していることにも繋がりますが、現代は女性の社会進出がすさまじい時代です。
20代にがむしゃらに働いて、キャリアを積む女性が多く、その築き上げたキャリアを糧に、20代後半から30代に、責任ある立場や仕事を任されるようになっていきます。
そうなると、「仕事も楽しいけど、もし妊娠したら年齢も年齢だし、仕事を一休みして」と思っても、その時期は重責がある仕事を担当していたり、人材育成などの責務を任されたりと、仕事におけるストレスも大きくなる時期と重なる年代です。
生殖機能への指令は、視床下部から下垂体経由分泌されるホルモンによって行われます。
しかしストレスが溜まっていると、この指令がスムーズに行われない状態になっていくことが分かっています。
よくストレスや疲労で、生理不順を起こす女性がいると思いますが、これがまさに指令がスムーズに行われない状態によるものです。
生理不順だけでなく、排卵障害を起こしてしまったり、スムーズに精子が着床できない状況を生み出してしまいます。
抗精子抗体
不妊症で悩んでいる女性のうち3パーセント、つまり100人に3人の割合で、抗精子抗体を有しているといわれています。
抗精子抗体?と思われた方が大半かと思います。
これは、女性の体内で作られる抗体のことです。
この抗体は、性交によって体内に入ってくる精子を異物として感知、そして排除してしまうのです。
つまり、この抗精子抗体を有している女性は、それ以外の部分がたいへん健康で、年齢的に問題がなくても、妊娠はしません。
抗精子抗体がなぜ作られてしまうのかが分かれば、解決の糸口はあるのかもしれませんが、残念ながら現代の医学では、解明できていないのです。
この場合、自然妊娠はほぼ100パーセント難しい状況なので、早めに不妊治療をはじめる必要があります。
精子が抗体に触れない状況、つまり体外で受精する方法を取れば、妊娠は可能です。
自己免疫疾患
抗精子抗体と同じような内容でありつつ、でも抗精子抗体とは関係性はないとされているもので、自己免疫疾患があります。
自己免疫疾患とは、自らの身体に対して自己抗体生成してしまい、ターゲットとなる部位で免疫反応を起こし、発症してしまう疾患です。
自己免疫疾患といっても幅広いので、その部分の解説はここでは割愛しますが、なんらかの自己免疫疾患が不妊の原因となっていたり、妊娠はスムーズにできても、「不育症」で流産を繰り返してしまいます。
流産を繰り返すケースでは免疫が反応して、赤ちゃんを異物として感知、そして排除してしまうのです。
過去の出産によるトラブル
二人目不妊で悩んでいる方に多いのが、初産がきっかけで、体の中に異変やトラブルが生じているケースです。
例えば、分娩のときの出血量が多かった方や、産後に子宮や卵管などに菌などが入り込み、産後の回復がよくなかった方などは、子宮と卵管の環境が衰えてしまっている場合があります。
前回の出産が帝王切開だったという方に多いのが、卵管周囲の癒着です。
手術後、腹部に癒着が起こることは、どんな手術でもあることなので、これに卵管が関わっているとなると、次の妊娠を希望してもなかなか授からないということが起こり得ます。
また、産後に生理が不規則になったり排卵がスムーズに行われていないという状況になることもあり、そうなると、排卵日が読みづらくなり、妊娠が簡単なことではなくなっていきます。
そこにきて、当然の話ではありますが、初産よりも二人目・三人目の方が、両親の年齢が高齢となっています。
どんどん自然妊娠しづらい体となっているのですから、二人目不妊こそ、「あれっ?」と思ったら、早めに病院に相談したほうがよいでしょう。
さいごに
このように、単純に年齢だけでなく、普通に生活をしているだけでは分からない部分に、不妊の原因が隠れていることがあります。
たとえ、年齢的に妊娠適齢期であったとしても、なかなか授からないという方は、一人で悩む、もしくは逆に「いつかできるでしょ」と楽観視しすぎないで、早めに専門の病院へ相談へ行きましょう。