親不知は、痛くなってくると非常に厄介な歯です。
しかし「抜歯するのは痛いって聞くから、なかなか歯医者には行けない」なんて方も多いのではないでしょうか。
実際親不知はどんなもので、どんな治療をするのか、治療費はどれ位なのか気になりますよね。
そんな親知らずに関する疑問を、調べてみました!
目次
親不知とはどんなもの?
親不知とは、まんなかから数えて8番目の歯を指します。
大半の人が、10代の後半頃から20代の半ば頃に生えてきます。
稀に30代以降に生えてくるケースもありますが、親不知は他の歯よりも生えてくるのが大変遅いのが大きな特徴です。
親不知が生える理由
親知らずの名前の由来には諸説ありますが、その昔、平均寿命が40歳程であった時代には、親は子供の親不知を見る前に亡くなる事が多かったため、「親不知(親知らず)」と呼ばれる様になったそうです。
トラブルが多い事で知られる親知らずですが、何故生えてくるのかははっきりと分かっていません。
一説によると、火をおこせなかった昔の人々の食事は固いものばかりであったため、親知らずが必要であったと言われています。
しかし火がおこせる様になり文明が発達していった結果、柔らかい食事の方が増え、親知らずは必要なくなり、後から生える様になったのだそうです。
また、柔らかい食事が多くなったため顎があまり発達しなくなり、親不知が生えてくるスペースが十分に出来なくなってしまいました。
そのため、親不知が生えてくると、様々なトラブルを起こす原因となってしまうと言うのです。
ですが、親不知全てが、必ずトラブルの原因となる訳ではありません。
親不知が生えてきても、抜かずにそのまま放置しても大丈夫な場合もあるのです。
その一番の違いは、親不知の「生え方」にあります。
通常、歯はまっすぐに生えていますよね。
親不知も、本来であればまっすぐに生えてくるのが正常な状態と言えます。
しかし多くの親不知は、斜めや横向きに生えてきてしまいます。
こうした生え方が、多くのトラブルを引き起こしてしまう事になるのです。
またまっすぐ正常に生えている親不知の場合には、治療せずそのまま放置しても大丈夫なケースが多いと言われてます。
親不知が原因の主な4つのトラブル
では斜めや横向きに生えてきた親不知は、どの様なトラブルを引き起こしてしまうのでしょうか。
1.虫歯や歯周病、腫れの原因となる
斜めや横向きに生えてきた親不知は、しっかりと歯磨きが行き届かない事が多くなってしまいます。
そのため親不知そのものが虫歯になってしまったり、周りの歯が虫歯になってしまうケースも多くなります。
また、親不知が原因で歯周病を引き起こしてしまう事もあります。
歯茎が腫れてしまうケースもあり、大変厄介なトラブルになる可能性があります。
2.歯並びが悪くなる
親不知が生えてくる事で他の歯を押してしまい、だんだんと歯並びが悪くなってしまう事があります。
特に横向きに生えてきている場合には、親不知が成長すると共に他の歯がどんどんとずらされてしまいます。
矯正をして歯並びを直した場合でも、親不知によってまた歯並びが悪くなってしまう事もあるので注意が必要です。
3.顎関節症の原因となる
親不知により噛み合わせが悪くなってしまい、顎の負担が偏る事によって顎関節症を引き起こしてしまう事があります。
顎関節症は、顎がカクカクしたり、口が大きくあけられなくなる病気です。
4.頭痛の原因となる
親不知が原因の噛み合わせの悪さが原因となり、歯茎に炎症が起こってしまうと頭痛の原因にもなってきます。
他にも、気持ち悪さやめまい等の症状が出てしまう可能性があります。
斜めや横向きに生えてくる親不知は、日常生活にも支障をきたすトラブルが多く潜んでいます。
この様なトラブルを予防するためにも、親不知は治療が必要なのです。
では親不知の治療は、どんなものなのか見ていきましょう。
親不知はどんな治療をするの?
親不知の治療は、基本的に「抜歯をする」事になります。
歯医者や口腔外科で、治療を受けるのが一般的です。
但し前項でお伝えした様に、抜歯せずに温存する場合もあります。
ここでは、抜歯をする時の治療の進み方をご紹介します。
1.診察
まずは親不知がどの様に生えてきているのか、どの様な状態なのかを診察していきます。
基本的にはレントゲンを撮って、歯の状態をしっかりと確認します。
ここで歯がまっすぐに生えていない場合は、大半が抜歯へと進む事になるのです。
2.抜歯
抜歯をする事になったら、日程を決めていよいよ治療がスタートします。
抜歯は、下記の手順で進んでいきます。
- 麻酔をする
- 抜く
- 傷口を縫う
歯医者で嫌なものの上位に入るであろう「麻酔」は、得意な人はほとんどいませんよね。
しかし、親不知治療に使用される麻酔は、虫歯等の治療で使用する麻酔とは違う場合もある様です。
注射での麻酔をする前に、表面麻酔と言って、塗るタイプの麻酔を使用するケースがあります。
これならば、注射麻酔の痛みもほとんどなくて済みます。
そして麻酔が効いてきたら、いよいよ歯を抜く作業に入ります。
歯が歯茎からあまり出ていない場合には切開する可能性もありますが、麻酔が効いているので痛みはありません。
また多くの場合、親不知はその大半が埋まってしまっているので、歯を削ったり割ったりして抜いていきます。
しかしこれに関しても、麻酔が効いているので痛みはありません。
そして歯が全て抜けたら、最後に傷口を縫合していきます。
親知らずは大きめの歯なので、抜いた後はぽっかりと穴があいた状態になっています。
これは時間の経過と共に塞がっていきますが、治癒を早めるために傷口を縫っていくのです。
そしてガーゼで止血をすれば、抜歯は完了します。
最後に抗生物質や痛み止めを処方してもらえるので、忘れずに飲んでいきましょう。
また抜歯後は、なるべく1週間程度、安静にする様に心がけます。
歯磨きで傷口を傷めない様に気を付け、舌であまり触らない様にしましょう。
そして熱いお風呂に長時間入ったり飲酒をしたり、ハードな運動も避けていきましょう。
3.抜糸
抜歯の翌日に、経過観察や消毒で歯医者へ出向く場合もあります。
そして抜歯から約1週間したら、縫合していた糸を抜く作業をしていきます。
これは痛みがほとんどないケースが多いため、麻酔をせずに処置する病院も多い様です。
ここまできたら、抜歯は完了です。
しかし傷口が完治するまでには、1~6ヶ月程の時間がかかると言われています。
決して無理せず、異常があったら病院へ行く様にしていきましょう。
親知らずの治療は虫歯や妊婦でもできるの?
本来であれば、親不知の抜歯時期は20歳前後がベストと言われています。
これは親不知は生え始める時期であり、なるべく若いうちに治療をした方が回復が早いからなのです。
とは言っても、なかなか20歳前後で親不知の抜歯に踏み切る事は出来ませんよね。
しかし親不知がまっすぐに生えていなかったり部分的に出てきていると、歯磨きがしにくい状況になってしまいます。
そうすると当然虫歯になりやすくなってしまうのですが、親不知の虫歯は他の歯に比べて5倍近く痛いとも言われています。
もちろん突然激痛になる事は稀ですが、「痛いかも」と虫歯の可能性を察知したらすぐにでも歯医者に相談しましょう。
虫歯の場合でも、ほとんどが抜歯治療は可能のようです。
しかし妊娠している女性の場合、妊娠によりホルモンバランスが変わっているので、免疫が低下しています。
そのため妊娠中の治療は、極力避けた方が良いとされています。
妊娠中は歯のトラブルが起きやすい時期ですが、出来る治療にかなり制限が出来てしまうので、注意が必要です。
出来れば妊娠を計画する前に、親不知は抜いておいた方が安心です。
治療費はいくら位かかるの?
親不知治療で気になる事の一つに、治療費が挙げられます。
麻酔を使用したりするので、高額になりそうなイメージも強いですよね。
しかし実際には保険がきくので、歯の状態によりますがそこまで高額にはならない様です。
比較的簡単に抜歯が出来そうな場合には、手術時間は10~20分程度で治療費も1,000円~2,000円程です。
また骨の中に埋まっていたりして難しい抜歯でも、手術時間は20~60分程度で治療費は3,000円~5,000円程と言われています。
但しこの治療費の他に初診料やレントゲン代、薬代等がかかるので親不知1本の治療には5,000円程かかると見ておくと良さそうです。
しかし歯の状態によっては、手術に4時間程かかってしまうケースもあると言います。
9割の親不知はそういった大変難しいケースではない様ですが、しっかりと担当医と相談していきましょう。
抜歯治療を受ける場所選び
抜歯治療を受けるには、歯医者か口腔外科でお願いする事になります。
中でも口腔外科の先生は、親不知抜歯の経験が非常に豊富で、治療が上手いとも言われています。
しかし町の歯医者の先生でも、もちろん上手な方がたくさんいます。
一説では、「口腔外科」でヒットした先生にお願いすると良いとも言われている様です。
但し少なからず痛みが伴う治療になりますので、自分が一番信頼できる先生にお願いすると良いでしょう。
まとめ
親不知治療に踏み切るのは、大変勇気がいる事です。
しかしなるべく早めに治療を受けておく事で、回復が早く痛みも少ないとされています。
逆に年齢を重ねてからの治療には、体のあらゆる箇所へのリスクの心配も出てきます。
親不知は大半が正常には生えてきませんので、なるべくリスクの少ない時期に治療していきましょう。
治療自体は、麻酔によって痛みはほとんどありません。
その後1週間程度は人によって腫れたり痛みがあったりしますが、親不知が口内トラブルを起こす前に対処していく必要があります。
治療には保険がききますので、まずは相談だけでも歯医者へ出向いてみてはいかがでしょうか?