妊娠を希望して本格的に妊活をする方は、お酒の害が受精卵に影響するのかどうかが気になると思います。お酒が好きな方は、妊活中にお酒を飲んでいても、本当に胎児へ影響がないのか知っておきたいところ。
もし飲んでもいいなら、お酒はいつまで、どれくらい飲んでも大丈夫なのかが心配になりますよね。
妊活中にお酒を男性側が大量に飲んでいるとしたら、それも妊娠に影響があるのでしょうか。妊活中のお酒の適量なども含めご紹介していきます。
目次
- 妊活中にお酒を飲むと妊娠率が下がるって本当?
- それでもお酒がやめられない!妊活中のお酒の適量ってある?
- 妊活中に男性側がお酒を飲んでいるのは大丈夫?
- 本気で妊活するならストレスを解消する方法を見つけよう!
- まとめ
妊活中のお酒の適量を間違えると妊娠率が低下する?
妊活中はなにかと制約が多いもの。
特に海外ならお酒を水代わりに飲む所もありますが、日本人は同じようにしていて本当に大丈夫なのでしょうか?
1)妊活中に飲むお酒の影響は?
妊娠すると、お酒やたばこは出来るだけやめるように指導されます。でも妊娠前は指導をされることもなく、しらない間に赤ちゃんが宿っていることがほとんど。自然に妊娠した方は、妊活中のお酒やたばこを意識していたわけではありませんよね。そうなると妊活中にお酒を飲もうが、特に気にすることはない気もします。本当のところはどうなのでしょう。
妊活中にお酒を飲むと、妊娠率に変化はあるんでしょうか?
研究されているところでは、アルコール依存症の女性は月経が無くなることがあるそうです。またアメリカの生殖学会の論文では、1日に20g以上のお酒を毎日摂取していると、妊娠率が低下したという報告もあります。
20gのお酒ってどれくらいの量?
- ビール…500mlの中びん1本分
- ワイン…1/4本(およそ180ml)
- 日本酒…1合(180ml)
- 焼酎…0.6合(およそ110ml)
- 酎ハイ…1.5本(およそ520ml)
- ウイスキー…60ml
このくらいの量がアルコール20gに換算されます。
やはりアルコールを長期摂取しすぎると、妊娠率には少なからず影響があるようですね。
2)お酒は飲んだらどれくらいの間身体に残っているの?
飲んだお酒のほとんどが、小腸で吸収されて全身の血液を巡っていきます。そして20gのお酒を30分以内に飲むと、アルコール成分は3~4時間は体内に残っているそうです。この倍の量なら、6~7時間も体内に残ってしまいます。
もし赤ちゃんがお腹にいるなら、何時間もアルコールにさらされている状態が続くので、お母さんの血液を介して確実に赤ちゃんの脳にもアルコールが回っていることになります。
一方、排卵前にお酒を飲んだとしても、肝臓でアルコール成分は分解されていきますから、いつまでも体内に残り、卵子に悪い影響を及ぼすことはなさそうです。
しかし排卵して受精した後に、知らずにお酒を大量に飲んでいたら、なんらかの影響も出る可能性はありますが、確率は極めて低いようです。しかし赤ちゃんの脳や心臓、手足といった重要な器官が作られる妊娠初期には、お酒もお薬も飲むのは絶対にやめておくことが肝心です。
お酒と同じようにたばこはさらに妊活に影響します。
2)妊活中のお酒とたばこはやっぱりダメ!
妊活中にたばこを吸うのは身体に悪いとわかっていても、なかなか止められないことがあるようですね。妊活や妊娠中ともに、たばこは確実に身体に害があります。たばこの中に含まれる「ニコチン」は、血管を収縮してしまうため、全身の血液のめぐりを悪くしてしまいます。
つまり血流が悪くなるということは、卵子を作る際の機能が低下し、結果的に卵子ができにくくなり妊娠率が確実に低下します。体外受精のデータですが、喫煙している女性が妊娠する率は、そうでない女性に比べておよそ20%も低下してしまいます。もちろん流産の危険も高くなります。
しかも一度機能が低下した卵巣は、再び機能が向上することが少なく、今後の妊娠にも影響が強くでてしまいます。
これにお酒が加わると、妊娠率は当然低下してしまいますよね。やはり妊活中は、禁煙、禁酒が望ましいようです。
それでもお酒がやめられない!妊活中のお酒の適量ってある?
「妊娠していないから、妊活中はちょっとくらいお酒を飲んでもいいのかな?」と、いつまでも飲酒がやめられない方は、できるだけ飲まないことが最も良いのですが、タイミングを見てちょっとだけ飲むのはよいでしょう。
私の場合は妊活中と言うわけではなかったのですが、受精したであろう前後に飲み会でお酒を飲んでいましたし、妊娠と分かるごくごく初期の頃にも、妊娠がわからずお酒を飲んでいました。でも元気な子供が生まれ、何も問題はありませんでした。
ただアルコールは依存してしまう場合が多いので、いつも飲んでいる方は禁酒しないと、妊娠中もついつい飲んでしまう傾向にあるようです。妊娠中はストレスが溜まりやすいので、「ちょっとぐらいいいよね?」と、気を緩めてしまうと、ついついまた飲んでしまい、赤ちゃんに悪影響を及ぼします。
欧米では常にアルコールを摂取している人もいますが、日本人は元々身体が小さく、それに対応して肝臓も小さいので、アルコールを分解する能力が欧米人に比べると低いのです。
妊活中にお酒の適量というものはありません。妊活をする!と決めたら、少しずつ量を減らして、妊娠中は禁酒できるようにするのが最も理想です。
妊活中にお酒を男性側が飲んでいるのは大丈夫?
妊活中はご主人側の激務や、心理的な面でタイミングがうまくとれず、妻側のストレスになることが悩みの種ですよね。せっかく妊活のタイミングがこの日だとわかっていても、ご主人が飲み会で酔っぱらって帰ってきたりするとガッカリということも。また普段からご主人がお酒好きで、毎日大量に飲んでいる場合もあります。
このように男性側が、妊活中にアルコールを摂取している場合はどうでしょう。
1)妊活中にお酒を飲むと精子に影響は?
妊活中に男性側がお酒を飲んでいた場合、妊娠率を上げる精子の質が悪くなるそうです。
デンマークの1221人の健常男性に、飲酒でどの程度精子に影響があるのかを研究したデータがあります。平均年齢19.1歳の男性に検査を行なったところ、1~5単位のアルコール(およそ20~100gのアルコール量)を摂取した人は、明らかに精子に何らかの異常が見られたそうです。
2)妊活中のお酒で男性側にどんな影響が?
アルコールを飲むと小腸から吸収されて、血液をめぐり脳に達します。そしてアルコールは、脳の視床下部や下垂体、生殖腺に影響を及ぼし、精子の形態を変えてしまうそうです。そして精巣に直接悪い影響を与えるようです。
デンマークの研究の結果では、習慣的な飲酒が週60gを超えると、精子の濃度や、数、質が低下していき、アルコール量300gになると、それがさらにひどく現れてしまったそうです。精子量や運動率には影響が見られなかったため、見かけ上は全く問題がないのに、妊娠させるという精子能力が劣ってしまうようです。
また7単位(アルコール量120g)以上のアルコールを毎日大量に摂取していた男性は、精子をつくる能力がストップしていたそうです。
7単位のお酒の量ってどれくらい?
- ビール…500mlの中びん7本分
- ワイン…およそ1260ml
- 日本酒…7合(1260ml)
- 焼酎…4.2合(およそ770ml)
- 酎ハイ…10.5本(およそ3640ml)
- ウイスキー…420ml
7単位のお酒の量は、このくらいになります。
どうですか?ご主人はこれくらいの量を毎日飲んでおられますか?これだけの量のアルコールを毎日飲むのは、アルコール中毒といっていいほど。
男性もお酒を大量に飲むと、やはり精子の形成に問題が起きるようですね。どうしても早く妊娠したい場合は、こうしたマイナスの要因を取り除いていくのがベストです。
妊娠したいと本気で思ったら、夫婦ともに飲酒やたばこを控えるか、きっぱりと止め、妊活に向かう方が成功する確率は上がるようですね。
本気で妊活するならストレスを解消する方法を見つけよう!
これから本気で妊娠を望まれる方は、ご自分が本当に妊娠できるのかとても不安だと思います。「子供は授かりもの」と言っても、どんどん他の人が順調に妊娠していくと、焦ってしまうのは当然ですよね。しかしどうやらこの焦りが、妊娠を遠ざけている場合もあるようです。
1)流産率を上げるマイナス要因は早めに取り除こう!
厚生労働省のデータによると年齢によって妊娠する確率が確実に下がっていきます。そしてせっかく受精しても、年齢が上がると流産が非常に多くなっていきます。
(引用元:http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147474&name=0000013498.pdf)
25~34歳までなら流産率が10~11%なのが、40歳以上になると急激に増加して41%になってしまいます。若い方なら、まだまだ妊活をして流産してもチャンスは何度もありますが、40代の方はなおさら焦りの要因になってしまいます。
流産率を見ると焦ってしまう気持ちが益々増えると思いますが、40代の人の半数以上は無事に妊娠を継続できていると思えば、かなりの確率で妊娠できる可能性が残されていますよね。こうしたデータに惑わされない、強い精神力も妊活には必要になってくるのかもしれませんね。
実際私も1人目ができたあと2回の流産を経験して、2人目不妊になり、なかなか次の子ができませんでした。次々友人が順調に妊娠していく姿を見ては、悲しみを覚えたものです。当時やはり焦りが強く、もし妊娠したら激しい運動をしていると流産する可能性があるので、大好きだったテニスも止め、妊活一筋でした。
ところがこれがストレスになりました。ストレスを解消するどころか、益々増やしていったのです。ある日妊活をきっぱり諦めて、テニスを思いっきりしたり、のびのび生活していたところ、簡単に2人目ができてしまいました。ストレスはやっぱり、妊活にはマイナスの働きをするようです。
2)ストレスが妊活をはばむ大きな原因の一つ
ついついお酒を飲んでしまう状況ってどんな時ですか?イライラしてストレスがたくさんある時に、リラックスしたいとか、忘れて眠りたいと言う時に飲むことが多くないでしょうか?ストレスはお酒を飲む一番の原因になります。
アメリカノースカロライナ州の1962人の妊婦さんを調査したデータでは、ストレスが原因で早産になる確率が、ストレスを感じていない妊婦さんの2倍にもおよんだそうです。
ストレスを感じると、脳の「前頭前野」という感情や衝動をつかさどっている場所に影響が及びます。ここが長い間ストレスを生じると、不安を感じやすくなったり、普段はなんてこともない抑えている感情が、急に爆発して暴飲暴食といった欲望に任せた行動にでてしまうそうです。お酒を飲みすぎてしまうのは、ストレスを上手に解消できていないから。
男性側も女性側も、妊活することにストレスを感じないように解消方法を考える必要があります。
逆に言えば、毎日大酒を飲むのは胎児に影響がありますが、たまに少しだけ飲んだからといって、罪悪感を感じるところまでストレスを感じない方がよいようです。
まとめ
妊活中のお酒との関係についてご紹介しました。妊活中は女性も男性も、お酒の量を多く飲めば飲むほど何らかの影響があることがわかりましたね。お酒を飲む習慣がある方は、是非この機会に減らしていくか、ストレスを解消してお酒を飲まない習慣を身に着けてみてはいかがでしょうか?
元気な赤ちゃんが、いち早くできることを祈っています。
(参考文献)
1. Dole N et, al.;Maternal stress and preterm birth.;Am J Epidemiol;1;157(1):14-24;2003
2. Straub H et, al.;Antenatal depressive symptoms increase the likelihood of preterm birth.;Am J Obstet Gynecol;207(4):329.e1-4 2012