パニック症状の原因は?克服は可能?パニック症候群の診断と治療法


パニック症状って、どんなものか知っていますか?
「名前は聞いた事があるけれど、実態はよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。
あなたが日々何気ない時に感じているその体調不良は、もしかしたらパニック症状かもしれません。
意外と身近に潜んでいる、パニック症状の診断方法と原因、治療法をご紹介していきます。

目次

  1. パニック症状ってなに?
  2. 症状と原因は?
  3. パニック症状の診断
  4. 克服するための治療法
  5. まとめ

パニック症状ってなに?

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パニック症状とは、ある時突然発作を起こす病気です。
パニック発作と呼ばれるこの発作は、10分~1時間程で自然に治まる事が多いとされています。
しかしその症状はあまりに辛く、死をも意識する瞬間さえあると言われています。
ですが実際に病院で検査をすると、身体的な異常はどこにも見当たらないのが特徴です。
そのため「気のせいだったのかな」「単なる体調不良かな」等と始めは気にしない事が多く、結果的に何度も発作を繰り返してしまう様になるのです。
このパニック症状はパニック障害とも呼ばれ、約100人に1人は発症すると言われる珍しくない病気です。
これは18歳から24歳くらいに発症する事が多く、女性に比較的多い様です。
また死を意識する事さえある発作ですが、実際に命に関わる事はないとされています。

症状と原因は?

パニック症状の実際の症状と、その原因を見てみましょう。

症状

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パニック症状の主な原因は、以下の様なものが挙げられます。

  • めまい
  • 震え
  • 激しい発汗、悪寒
  • 吐き気
  • 激しい動悸や頻脈
  • 息苦しさ
  • 強い不安感

今まで何ともなかったのに、ある瞬間に突然発作が起こります。
こういった症状が一気に起こる事もあり、その発作はとても辛いものです。
ではこれらの症状は、どうして起こるのでしょうか。

原因

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パニック症状の原因は、まだ完全には解明されていません。
しかし脳内不安神経機構に異常が起こる事が原因ではないかと考える説が有力視されています。
これは脳内で情報を伝えるために働く細胞が、誤作動していると考えられているのです。
不安感を引き起こす神経伝達物質はノルアドレナリンと呼ばれ、これは本来何かしらの危険が迫った状況に陥った時に警告を出す役割を果たしています。
しかしこのノルアドレナリンが過剰に分泌されてしまうと、パニック症状が引き起こされてしまうのです。
またノルアドレナリンの過剰分泌を抑えるセロトニンやギャバが不足してしまう事でも、パニック症状が起こってしまいます。
こうしたノルアドレナリンの過剰分泌は、ストレスを多く受けたり過去のトラウマ等が要因となって発生する事もあります。
それに加えて遺伝的な体質が原因の可能性も高く、心の病気だけではなく身体の病気としても取り扱われる様になっています。

パニック症状は何度も繰り返す

パニック症状の大きな特徴の一つとして、同じ発作が何度も繰り返される事が挙げられます。
一度パニック発作を経験すると、その辛い発作がまた起こる恐怖を感じる様になり「予期不安」と呼ばれる状態になります。
すると予期不安が、広場恐怖症を引き起こします。
これは、一度パニック発作を起こした事のある場所や状況に恐怖を感じてしまう事を言います。
しかし広場恐怖症は元々何かしらの原因で、発作を起こさないながらも持病として抱えている場合もある様です。
この広場恐怖症になり得る代表的な場所や状況を、いくつか見てみましょう。

  • 電車やバス
  • エレベーターやトンネル
  • 映画館や水族館
  • 行列や人混み
  • 一人での外出
  • 一人での留守番

この様にすぐには逃げられない場所や、すぐに助けてもらえない様な状況が広場恐怖症になりやすいと言えます。
またパニック発作が起こった事による予期不安で広場恐怖症が起こると、今度はそれが原因でパニック発作を起こしてしまいます。
こうして、パニック症状は何度も何度も繰り返して悪循環に陥りやすい症状なのです。

パニック症状を誘発しやすいもの

まだ原因がはっきりと解明されていないパニック症状ですが、これを誘発すると考えられているものがいくつかあります。

  • コーヒー
  • 喫煙
  • アルコール
  • 低血糖
  • 疲労や睡眠不足
  • ストレス
  • 蛍光灯の光

これらはそれぞれノルアドレナリンやホルモンを刺激したりする事により、パニック症状を引き起こしやすいとされています。
喫煙やアルコール、コーヒー等は適量に抑え、健康管理に気を配る事が予防にも繋がってきそうですね。

パニック症状の診断

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パニック症状の診断は、基本的には病院で医師が行います。
ここでは、簡単なセルフチェックをご紹介します。

  • 激しく鼓動が脈打つ事がある
  • 突然心臓がバクバクする事がある
  • 体の一部が、意味もなく震える事がある
  • 息が苦しくなる事がある
  • 気温に関係なく、突然発汗する事がある
  • 悪寒やほてりを感じる事がある
  • めまいに襲われる事がある
  • きっかけもなく吐き気がする事がある
  • 突然耐え難い恐怖感に襲われる事がある
  • 自分が他人の様に感じる事がある
  • 血の気が一気に引く事がある

これらに3~4項目当てはまるとしたら、パニック症状の可能性があります。
パニック症状を放っておくと繰り返し起こってしまい悪化してしまう場合もあるため、一度医師に相談する事をおすすめします。
この病気は決して珍しいものではなく、現在日本人の約200万人が抱えている病気です。
受診する時には症状が出ていない事がほとんどなので病院へ行きにくい方が多いですが、勇気を出して診察を受けていきましょう。
次項では、パニック症状の克服法をご紹介していきます。

克服するための治療法

パニック症状の治療は、基本的に病院で行います。
その具体的な治療法を見てみましょう。

治療法

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病院では、「薬物療法」と「心理療法」がメインに行われています。
薬物療法とは、薬でパニック発作が起こらない様にする事から始まります。
この薬は、パニック発作の原因とされているノルアドレナリンを抑え込む作用を持つ「セロトニン」を増やす薬が使われます。
他にも抗不安薬と言って、不安感を抑える薬も使用される事があります。
こうして薬で症状を抑えながら心理療法を併用していき、いずれは薬がなくても発作が起こらない様にしていきます。

心理療法は、「認知行動療法」や「自立訓練法」「暴露療法」等が主に行われます。
認知行動療法は、物事の考え方を変えていく訓練です。
パニック症状は、少しでも発作の様な症状が現れただけで「死んでしまうかもしれない」という負の感情に捕われてしまいます。
この様に過剰に負の感情に支配されてしまう状況を少しずつ訓練して、感情をコントロール出来る様にしていくのです。
そして自律訓練法は、リラックスする方法を心と体で覚える訓練です。
パニック症状を抱えている人の多くは、発作が起こっていない時でも緊張した状態にあると言われています。
常に緊張していると言っても過言ではない状態なので、その緊張をほぐせる様にする重要な訓練です。
そして最後に暴露療法は、パニック発作が起こる場所や状況に慣れていく訓練です。
少しずつ無理のない範囲でその場所や状況に慣れていく事で、最終的にはその場所や状況がパニック発作と関連がない事を心と体に覚えさせる訓練です。
こうした心理療法を経て、パニック症状を治療していきます。

自分で出来る対策法

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パニック症状の対策は、病院だけでなく自分で出来る対策方法もあります。
対策としては、何よりもまず体調を整える事から始めていきます。

  • 規則正しく生活する
  • バランスの良い食生活
  • 過剰な飲酒、喫煙、カフェイン摂取は避ける
  • 軽く運動をする習慣を付ける
  • 十分な睡眠時間を確保する

こうした基本的な生活を見直す事で、体内の脳内物質も比較的安定してきます。
また、食生活では下記を積極的に摂りいれていきましょう。

  • 納豆
  • 乳製品
  • バナナ

これらは、ノルアドレナリンを抑えるセロトニンを増やすために効果のある食材です。
薬に頼らずこうした食材からセロトニンを増やして、不安を抑えていく事も出来るのです。
またストレスをなるべく溜めずに、都度上手に発散していく事も大切です。
そしてもしパニック発作が起こりそうになった時には、腹筋を使って大きく深呼吸をしていきましょう。
腹筋を使う腹式呼吸をすると、自律神経がバランスを整えやすい状態になります。
発作が起こってしまうとなかなか深呼吸等出来る状態ではなくなってしまいますが、日頃から腹式呼吸を心がけていくと良いかもしれません。

こうして日々の生活から少しずつ心と体を健康にしていく事が、パニック症状の対策となるのです。
しかし自分で手に負えない場合には、早めに医師へ相談される事をおすすめします。

克服した人の体験談

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ドキドキ、ハラハラしながら人ごみに慣れ、地下鉄に乗れるようになったのは、発症後4~5年です。
今でも、バーゲン会場やら休日のデパ地下は「怖い」と思ってしまいます。
お薬は、最初に頂いたものが量が多く、また舌が回らず話せなくなるので薬はやめてしまいました。
電車・バスは「怖い」「嫌な気がする」と思ったときに一旦下車して、深呼吸をし、再乗車します。
それを根気良く続けて、怖くないことを覚えました。
あと、身近な人(恋人・友人・配偶者)に告白して、理解してもらうことが一番です。
私は、仕事先の方々にもご理解いただいております。
無理をしない、ストレスをためないというのが一番の治療法で、その中で少しずつ前進して治療することが良いようです。
(引用:
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/1020/152527.htm)

私の克服のきっかけは、ある日のちょっとした意識の変化でした。
不安な気持ちを自分で増幅させていることに気が付いたので、「だからどうした!」という開き直りの気持ちや、「誰にでもある不安感を自分で増幅させているんだ」と自分に言い聞かせることである程度落ち着くことができるようになりました。
これに気が付いたある日、嘘みたいに症状が軽くなりました。
(引用:
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/1020/152527.htm)

まとめ

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パニック症状は、誰にでも起こり得る病気です。
発作を「気のせい」で済ませてしまわずに、なるべく早く対策をして治療していきましょう。
病院での受診が一番ですが、日々の生活リズムや食生活を整えて心と体を健康にする事も大切です。
また我慢せずに、誰かに相談してみる事も重要です。
パニック症状を抱える人は少なくありません。
是非、しっかりとした治療をして治していく様に心がけていきましょう。

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